ワタミの渡邉美樹会長が辞任したそうな。参院選出馬に本腰を入れるのでしょうかね。
私も一私企業の人事に関心はないのですが、 ワタミは「ブラック企業大賞2012」の投票数が東京電力を押さえて堂々一位だし、ちょっと思うところもあります。
ブラック企業大賞はWeb投票だから逆美人コンテストみたいなものだけど、2013年もノミネートされたってことは、相応の背景があるものと推測されます。
もし日本で「飛び抜けた大金持ちになってやろう」と考えた場合、手段はこうではないかと。
小売りか飲食の事業を立ち上げて巨大フランチャイズチェーンに育て上げ、
末端の人件費は安く抑える
言うは易しで相当に難しいことですが、それでもイチローや尾田栄一郎を目指すより遥かに現実的です。
で、ユニクロの柳井さんらもそうらしいけど、渡邉美樹さんにしても毎年数十億円もの収入(株主配当を含む)を得ているはず。もちろん彼らは並々ならぬ努力の積み重ねで今の地位を築いたのだし、他人の成功を嫉むと自身の心を蝕みそうだから気をつけなければいけないけど、ここで問題だと思うのは、
- 多くの低所得者を生み出すことで財を増やしてきた側面もあるのでは?
- ワタミやユニクロが今よりも勢力を拡大させたら、日本の労働者市場はもっと疲弊するのではなかろうか?
という点。その華麗なサクセスストーリーも、ある種の貧困ビジネスと背中合わせなのではないかと思えるわけです。
例えば、米国でWallmartが進出した地方都市は、既存の小規模商店がことごとく潰され、さりとて小さな街には他に職もないのでWallmartに勤めざるを得ないが、そこでの給料が安いため自身もWallmartでの安い買い物しか出来なくなるという悪循環が生まれているそうです。自らの手でより多くの低所得者を生み出すことでその企業が発展するというのは実に質が悪いですよね。
また、大企業のトップともなると強力な政治力を発揮し得るわけで、自分らに都合の良い法律を作り、行政を牛耳る術を得られます。
日本でもこれに似た状況があるのではないでしょうか。労働基準法は存在しているものの、往々にして法の抜け穴を突くことはできるし、逆に抜け穴のある法律を作る(あるいは塞ぐ改正をさせない)ように仕向けることも、当局の実行力を失わせて骨抜きにすることも、しかるべき役職にあれば可能です。
並々ならぬ努力をして成功を掴んだ人は他者にもそれを強いがちな傾向があります。渡邉美樹さんは昨年の東京都知事選にも出馬したので、政治家になって国や自治体を動かしたい願望も強いのでしょうが、彼の国政への進出が適ったとして、それが良からぬ方向に働かないように願うばかりです。