Windows 8が発売されました。でも、この鳴り物入りの新しいOSを私は鬼子と見ています。それもMicrosoftの存亡にかかわるほどの。
そもそもMicrosoftがかつてなぜIT業界の覇者となれたかというと、歴代のWindowsでエンタープライズ分野をガッチリ押さえたから。もちろん個人ユーザーも多いものの、メインは企業、政府・自治体、公共機関、NGO・NPO、学校などですね。一頃のOSシェアたるや実に95%超もありました。
では、それらのユーザーはWindows 8の導入を急務、必然と思うかと考えると…。
Windows 7の場合は、前作のVistaの評判が宜しくなく、XPからのアップグレードや買い替え需要を取り込むことができましたが、Windows 8は何をもって7からの移行を促すのでしょうか?タッチ操作?スタート画面?Windowsストア?それって生産性の向上に役立つの?
ああ、僅かに客先プレゼンを常とする営業マンぐらいはタブレットの恩恵を受けられるかも。とはいえその分野ではすでにiPadが先行しているわけです。
エンタープライズ分野に強いOSという原点を見つめ直せば、今本当に必要とされているのは「格段にセキュアになったOS」にほかなりません。素の状態でも既知のマルウェアに免疫があり、新たな脅威にも耐性が強いWindowsともなれば、誰もがこぞってアップグレードするでしょう。セキュリティ関連企業を丸ごと買ってでも、そこにこそリソースをつぎ込むべきでした。見た目やUIなんかは前と同じでも構わず、むしろ極力変えない方がいいくらいです。
でも、MicrosoftはタブレットとPCの融合などという中途半端で安易な方法を選んでしまいました。よほど隣の芝が青く見え、自分たちがその恩恵にあずかれないことが惜しかったのでしょうが、PCとタブレットやスマートフォンでは使われ方が違うのだから、別製品として開発したほうがどれほど良かったか…。
結局、PC、タブレット、スマートフォン、どれをとってもイマイチな製品にしかならないでしょう。Windows 8は個人ユーザーにしか売れず、いつしか失敗作の烙印を押され、ゆくゆくはMicrosoftの収益と株価を大きく落とすことになると思います。
XP、Vista、7からのアップグレードがこの値段。
ダウンロード版なら3,300円だし、デフレだ…