江部康二さんの著書『主食をやめると健康になる』が話題です。
早い話が「炭水化物をたくさん食べると不健康や肥満になりやすい」のだそうで。理屈としては、人間はまだ穀物が多い食性に適用する段階まで進化できていないのだと。肉骨粉が牛の健康に悪かったのと似た話なのかな。
で、糖尿病の人向けの食事でいくと、肝心なのはカロリーではなく炭水化物(糖質)の摂取を減らすことだそうな。糖尿病持ちでない人にとっても炭水化物を食べてインスリンが多く分泌されることがメタボの原因になっている場合が多いのだと。そういえば先日疑惑の渦中で亡くなった先代鳴門親方(元横綱隆の里)も糖尿病によるインスリン注射のおかげで体重が増えたと言っていました。
太ることが宿命のお相撲さんはともかく、普通の人はなるべく健康体を保ち、無用な体重増加は避けたいところ。そのための方策は江部さんの言によるとこの通り。
簡単にいえば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・パン・めん類などの米・麦製品や、ジャガイモ・サツマイモ・里イモなどのイモ類など、糖質が主成分のものです。もちろん糖質制限ですから、甘いお菓子やジュースもNGです。 それさえ注意すれば、肉や魚はお腹いっぱい食べられます。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒なら、お酒を飲んでも構いません。
長年糖尿病患者を診てきた臨床医の言うことなので、これまでのダイエット理論よりは説得力があります。確かに私の経験則でも肉食を続けると体重が減るのは解ってはいました。でもね、糖質が多い食べ物は美味しいんですよね…。
さて、この説を全面的に肯定するとして、教えを守るとなると外食は難しいなぁ。米・麦・芋抜きのランチなんてちょっと思い浮かばないし。麺なしのラーメンは具入りのスープ。きっと食べた気がしません。丼物なら上物だけはOKですが揚げ物の衣は残さないと。マクドナルドだとポテトのセットはダメ。ハンバーガーもバンズを残すことに。それって何なんだか。内食でももちろん辛ラーメンもうまかっちゃんもペケ。明太子ご飯をご飯抜きで食べるとなるとまるで酒の肴だあ。
う~ん無理。そもそも世の中には体に悪そうだけど美味しい食べ物はいくらでもあるわけで、それと同じですね。できそうなのは炭水化物を食べ過ぎないように注意することぐらいかな。
まあ、だけどこの「米も小麦も体に良くない」という驚愕の新事実みたいな理論は立場によってはビジネスチャンスかもしれません。これまでヘルシーをうたう食品やお店の拠り所がオーガニック野菜だったのに対して、低糖質メニューでもって参入するのはありでしょう。カロリー計算されたダイエット用のレトルト食品なんかは量的に物足りず二つ食べてしまうので無意味なんてことがありましたが、低糖質がテーマなら「ガッツリ食える焼き肉弁当(ご飯なし)」なんてのも可能ですしね。
ただ、炭水化物は漫才で言えば地味なツッコミのような存在。彼らがいるからこそ相方の味のあるボケが引き立つわけで、ご飯を控えるならそれに替わる存在が必要かと。だったら有望なのは豆腐かな。例えば肉ジャガのジャガの替わりに島豆腐(沖縄の固い豆腐)を使うとか。
でも、この理論がもし完全に正しかったとしても、やっぱ多くの日本人は炭水化物をたくさん食うんだろうな…。