WWDC ‘2011 Keynote、予告通りOS X Lion、iOS5、iCloudの3本でした。珍しく事前に出し物を発表したのは、毎年恒例となっていたiPhoneの新モデル発表がないことで変に株価が動くことを避けたかったからでしょうか。
さて、従来のmobilemeが漠然とした有料ディスクスペース提供だったのに対して、iCroudは「クラウド版デジタルハブ」とでも言うべきもの。用途というかサービスの性質を絞り込んできました。しかもiCroudが成功すればMacやWindows PCの母艦は必ずしも必用ではなくなります。まもなく登場するChrome PCの動向と合わせて要注目でしょう。
ただし、iCroudの容量は無料とはいえ5GBぽっち。mobilemeは20GBでしたし、いずれ「写真や動画もお願い」「別のクラウドサービスを頼むのは煩わしい」という声が出ることは予想しているでしょうから、そのうち有償の追加オプションが加わるかもしれません。
でも私が一番のポイントだと思うのは「iTunesで購入したコンテンツは5GBにカウントされない」という点。CDからリッピングした音楽も同様の扱いにするとのこと(当面、米国限定の有料サービスらしいですが)。「身元は割れているので、リクエストに応じてマスターからコピーさせればいい」という考え方ですね。これはエンターテイメントビジネスの慣習をガラリと変えかねないのではないでしょうか。つまり、いよいよメディアレスが進むと。
例えば映画をDVDやBlu-rayで流通させればコピーが無限にばら巻かれかねませんが、配信型サービスなら防げます。仮に破られても有益な対策が打てそうです。ならばコンテンツホルダ各社はいずれDVDやBlu-rayを辞めてしまう可能性だって十分あり得るのではないかと。
ユーザにしても、作品の視聴権を買うという扱いになれば物理メディアの煩わしさから開放されます。過去にDVDで買った作品をBlu-rayで買い直すといったケースでも、SD版を+数百円でHD版にアップグレードできればあり難いです。あるいは新しく出たディレクターズカット版も、ちょっとの追加料金で見られるようになるとか。メディアの保存方法や耐久性にも気をつけなくて良くなりますし。
差し当たりAKB48の選挙権が100票分欲しければ100個のApple IDが必用になりますね。まあ、そこはどうぞご自由に。