今年も残すところ2ヶ月半といったタイミングで「年内に驚くべき製品の発表を、まだ二個以上も残している」とフリーザのような大言を吐いたスティーブ・ジョブズ。これで今年の分は打ち止めなのかは解りませんが、10/20にAppleのスペシャルイベントが開催され、いくつもの発表がなされました。
イベントではiLifeの中途半端な新バージョンや新型MacBook Airが登場し、Mac OS X 10.7 Lionがチラ見せされたのですが、中でも私が最も大きな発表だと思ったのは「Mac App Store」が3ヶ月以内にスタートするというもの。売り文句の6個を意訳するとこんな感じでしょうかね。
Best place to discover apps
もう、あちこち探し回らなくてもいいよ。
One-click downloads
ダウンロードはポチッとやるだけさ。
Free & paid apps (70/30 split)
他のサイトや販売店が潰れたってしかたがないよね。
Automatic installation
おまかせでインストールされるし…、
Automatic app updates
アップデータの確認もやってくれるんだ。
Apps licensed for use on all your personal Macs
しかも自分のだったら何台のMacでアプリを使ってもOK。
我々ユーザにとってはiPhoneアプリと同様に、さまざまな手間を省いてくれる点がメリットですね。ソフトウェアメーカーにとっても大きな変化はなし。パソコンソフトのオンライン販売自体は以前から行われていますし、むしろ販売チャネルを一元化できるのでスッキリします。歓迎でしょう。ただしMac用アプリの売り上げを見込む販売店は打撃を受けるはずです。まあ街のCD屋さんやレンタルDVD屋さんが淘汰されるのと同じ構図、仕方がないですね。だって、ユーザにとってその方が便利なんだから。
さて、これで中小のソフトウェアメーカーや個人はこぞってMac App Storeを利用することになるでしょう。売り上げの3割を天引きされるにしても、Appleを通すだけで世界中に販売が可能になるのですから。しかも、おそらく違法コピーも手放しで防止できるのでしょうし。iPhone向けと開発環境も共通なので、比較的小規模なアプリが多数登場するようなiPhoneのハロー効果もあるやもしれません。
そこで気になるのは大手の出方。具体的にはAdobeの。Microsoft OfficeはWin版とMac版の違いが少なくないので、どうとでも対処できるでしょう。でも、Adobeの方は多くの製品をMac版とWin版で同様に振る舞うように作って同一価格で販売していますので悩ましいかも。Mac App StoreはあってもWin App Storeはありませんし、どう差別化するのか、それとも今まで通りのやりかたを貫くのか。でも、CDの末路と同様、Macアプリをお店で買う習慣自体がそう遠くない内に無くなりそうな気も…。
それと懸案はMac App Storeにボリュームライセンスの制度が付くのか。というか、これがなければ大きな成功はあり得ないでしょう。おそらく法人アカウントを登録できてディスカウントを受けられるようになるのでしょうね。この点も興味深いので続報を待ちたいと思います。