たばこ税増税が民主党政権唯一の成果

民主党政権が発足してから約1年が経過しました。振り返ってみると、この一年間はいったい何だったのかという思いです。鳩山総理の任期は評判の悪かった前任者三人よりも短いものでしたし、山積する諸問題に何一つ道筋を付けられずに時ばかりが過ぎ去っています。好評を博した事業仕分けにしても、成果を上げたというよりは「あれだけやっても無駄金はあれっぽっちしか出なかったじゃないか」という消費税増税論の正当化の理由に使われる始末です。

そんな民主党政権の唯一の成果、成し遂げた改革が「たばこ税の増税」。これだけは高く評価されるべきでしょう。自民党政権時代は数年置きに10~20円といったペースだったのが、一気に110円以上という値上げ幅で増税を決めたわけですから。

まだ禁煙する気のない喫煙者にすれば承服し難い話かもしれませんが、まあ時代の流れには抗えようはずもありません。JT調べで現在の日本の喫煙率は23.9%。実に国民の3/4までがたばこが吸えなくても一向に困らない人なのですから、その方向に進むのは当然とは言わないまでも必然でしょう。

よく聞かれる「取りやすいところから安易に…」という反対意見も的外れで、実際のところ多数派の声がそれを求めたからそうなったということだと思います。誰しも心無い他者の喫煙で嫌な思いをした経験を持っていますし、政治家諸氏は多数派の意向を具現化すべく動かざるを得ませんので。増税が必ずしも税収増に結びつかないわけですし。

もっとも世の中には、ちゃんと場所をわきまえて吸っている喫煙者も大勢いて、彼ら彼女らは基本的には無害な存在ですが、一方で相変わらず街中で歩きたばこをしてしまうバカどもも少なからずいたりします。でも、歩きたばこは「さあ、増税してくれ」と言っているに等しい行為です。なにしろ増税が最もローコストかつ直接的な抑制策なのですから。そいつらのせいで良識的な喫煙者も締めつけを食らう点が気の毒と言えばそうですね。とかくこの問題は「嫌煙者vs喫煙者」の利害対立ととられがちですが、実際のところは「非喫煙者&良識的な喫煙者vs悪質な喫煙者」だったりします。

他の事象に例えるなら、 歩きたばこはゴミ屋敷問題と酷似しています。主が「自宅の敷地に自分のものを積み上げて何が悪い」「法律に違反していない」と言い張ったところで、地域住民が承服しなければ、いずれ公的な制裁手段が執行されてしまうわけです。ゴミ屋敷の「美観を損なう」「臭い」「病原菌の温床になり兼ねない」「さらなるゴミの投棄を呼び込んでしまう」「自然発火して火事に発展し兼ねない」「子供の教育に悪い」といった問題点は、そっくり無法な喫煙者にも当てはまります。

さて、いよいよ10月から増税です。一日当り一箱300円を費やしていた人は、そのままのペースなら年間40,000円ほどの出費増になりますね。4万円と言えば東京~沖縄を往復したり、グアムやサイパンのツアーにも参加できそうな額です。でかいよなぁ。端から吸わない者からすれば他人事ですがね。

しかも、諸外国の水準と照らし合わせれば、おそらくこの先一箱600円ぐらいまでは歯止め無く上がるものと思われます。いや、外国でも上がり続けるので600円が当面の到達点とも言いきれません。そして、たばこ増税に積極的な国会議員が一定数以上いる以上、毎年俎上に上がります。今回は参院選への影響を避けて10月からの増税となりましたが、次の国政選挙は2013年の衆参ダブル(民主党政権が持ちこたえれば任期ぎりぎりまで解散しない)の線が濃厚。ならば政権与党としては増税の施行から選挙までの期間は長い方が好ましいので、おそらく2012年の春に今回と同等かそれ以上の増税が既定路線と見ていいでしょう。いよいよ一箱500円の水準を突破することになります。一日一箱の人は年間19万円も費やすことになる計算です。

何というか、もはやたばこも高価な嗜好品ですね。

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