BATTLESTAR GALACTICA完結

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7月7日、Super! Drama TVで放映されていたBATTLESTAR GALACTICAが最終回を迎えました。

知らない人向けに紹介すると、機械人間サイロン軍の襲撃によって故郷を失った人類が、熾烈な追撃を交わしつつ伝説の星を目指して宇宙を旅するというSF作品で、このプロットはオリジナルの宇宙空母ギャラクティカ(1978〜)と同じです。また、ロボットタイプのサイロンだけでなく、人間と見分けがつかない人型サイロンが登場する点は、その続編の新宇宙空母ギャラクティカにも通じます。

カリスマ性の高い司令官アダマ、アダマの息子で優等生のアポロ、無敵のエースパイロットで快楽主義者のスターバックというメインキャラクターの設定はおおむねオリジナルから踏襲されているものの、その他の登場人物は大幅に変更が加えられました。中でも特にブーマーは…。

多分に宗教的観念を取り入れたこの作品の面白さの一つは価値観の逆転でしょう。人類が多神教信仰であるのに対し、サイロンは一神教。人類の多くがたびたび深酒、痛飲し、医者までもが無節操にタバコをくゆらせる一方で、サイロンはどこか禁欲的で洗練されています。人類の日常食がヌードル(うどんに見える)で、皆が箸を使って食べるところにしても、米国ではエキゾチックに写っていたのではないでしょうか。

振り返ってみるに、陰鬱な展開やバルターの戦犯裁判あたりで中だるみも見られたものの、終盤のたたみかけもあって結構楽しめた作品だったように思います。特に序盤の「誰がテロリストかが解らないが、いつかきっと仕掛けてくるはず」というストーリー運びは格別スリリングでしたし。まあ、絶対的な強さを持つ恐ろしい敵が、次第に他愛もない存在に成り下がっていく様は、スタートレックシリーズのクリンゴンやボーグ、創設者などと同じ。そこは愛嬌ですね。

で、この先は最終回のネタバレ。これから見る人は読まないでおいた方が楽しめることでしょう。

◆◆◆

本作最大の謎、「死んだはずのスターバックは何者なのか?」そして「Dr.バルターのビジョンに現れるナンバー6はどういった存在か?」の答えが最終話にてほのめかされました。結論を言ってしまえば、ともに「天使」だったのでしょう。片や人間の姿を持つも、その自覚のない天使。片や実体は持たず人々にビジョン(白昼夢)を見せて示唆を与える天使。スターバックは自らの役目を終えると忽然と姿を消し、ビジョンのナンバー6とバルターは、いつまでも人類を見守り続けることになります。

以下、記憶を整理するために書いた年代記です。私見も含むので中にはオフィシャルな設定とは食い違いがあるかもしれませんが、そこはご容赦を。

《3,000年前》

人類13部族が惑星コボルを離れる。その際、12の部族は12コロニー星系に、1部族はまったく別の星域の”地球”に移住する。

つまり、3,000年前に人類は宇宙航行の技術を有していたことになる。また、12コロニーと地球の両方に機械人間サイロンが存在したことから、人類がコボルにいたころに作り出したものと推測できる。

《2,000年前》

地球にて、奴隷だったサイロンと人類との戦争の末、双方が全滅し、文明の終焉を迎える。わずかに生き残った5人の人型サイロンは、はるか遠くの12コロニーを目指して宇宙の旅を始める。超光速航行が発明される前だったため、この旅は実に2,000年にも及んだが、彼らは死ぬと自動的に記憶がスペアのクローンボディに転送される”再生”テクノロジーを有していたため命を繋ぐことができた。

もっとも食料の調達や終わりの見えない長旅で正気を保てるかといった問題から、その大半の年月は人工冬眠のような状態にあったのだろう。

《約40年前》

5人の人型サイロンは12コロニーの人類と戦争状態にある機械型サイロンの元に到着する。自らの経験から双方の破滅を予期し憂いた彼らは、再生技術を提供することを条件に機械型サイロンを説得し、人類との間に休戦協定を締結させることに成功する。以来、機械型サイロンは人類の前から忽然と姿を消す。

そもそも人類に独立戦争を挑み、永続的な命に価値を見いだしたことから、ロボット然とした機械型サイロンも人類と同等の知能と感情を持ち合わせていたことが解る。

ただし、地球では2,000年前に人類とサイロンが共に死滅した一方で、12コロニーでは交戦状態にあったということは、地球と12コロニーでは科学技術の発達レベルや方向性に大きな差があったのだろう。

その後5人の人型サイロンはリーダー格の8体の機械型サイロンを自分たちと同様、人間の姿に作り替える。

おそらくそうすることが先々人類と共存する上で有益と考えたのだろう。

だが、人型に改造されたサイロンのジョン(ナンバー1)が反乱を起こし、5人の記憶を操作した上で人間社会に解き放つ。同じく人型となったサイロンの女性工作員も潜り込ませる。

《BATTLESTAR GALACTICA 序章》

休戦協定締結から40年後、突如サイロンが人前に現れ、核兵器で12コロニーを一斉に襲撃。予期せぬ同時多発テロにより瞬く間に大半の同胞の命と故郷を失い、全人口僅か5万人となった人類は、老朽宇宙空母ギャラクティカと戦闘機および民間宇宙船による船団を組み、伝説の星である”地球”を探す旅に出る。

《最終話》

分裂したサイロンの一派と同盟を結んだ人類の船団は、遂に目的の地球(2000年前に滅びた星とは別)の大地に下り立ち、文明を捨てて永住を決意する。無用となった宇宙船は太陽に飲み込ませ、ロボット型のサイロン一族にはサイロン母艦と完全な自由を与えて深宇宙に送り出す。

地球には原始的な人類が生息しており、しかも彼らとの交配が可能(!)であった。かくして人間の父親とサイロンの母親から生まれたヘラが、15万年後の全地球人の共通の先祖「ミトコンドリア・イブ」となった。

そして人類は今、人工知能を備えた使役用ロボットを多数作り出している。彼らもいつしか高い知能と感情を獲得する時がくるのかもしれない。

◆◆◆

なるほど。本作のストーリーは脱出記そのものだし、古代の地球に辿り着いた彼らの信仰がギリシャの神々やキリスト教のモチーフになったであろうというストーリー立ては予想通りだったけど、現代のロボット技術をサイロンの誕生前史に見立てることは考えつきませんでした。

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